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特別展
大英博物館ミイラ展
古代エジプト6つの物語
2021年10月14日(木)~2022年1月12日(水)
国立科学博物館
特別展「大英博物館ミイラ展 古代エジプト6つの物語」が国立科学博物館(東京・上野)で開幕しました。本展は東京の後、神戸に巡回予定。
今回はオープン初日の内覧会での様子をレポートします。
※写真(全て)は、本展報道内覧会で特別に許可を得て撮影されたものです。
「大英博物館ミイラ展」はここがすごい!
大英博物館ミイラ展は、とにかく楽しめます。
本展全体の概略を以下にご紹介しましょう。
◆大英博物館の古代エジプト・コレクション
人類の文化遺産の殿堂である大英博物館が誇る世界最大級の古代エジプト・コレクションから、6体のミイラとともに貴重な出土品の数々が来日しています。
一つ一つのピースが歴史の生き証人であり、信仰の文物であり、富と権力の象徴であり、優れた工芸技術品でありアートです。
その数、およそ250点。
本物ばかりで、見応えたっぷりです。
◆キュレーションと展示が秀逸
「ミイラは不気味すぎる、趣味じゃないな~」と思っていませんか?
黄金マスクとともに暗い部屋に安置され包帯でぐるぐる巻きの王様(ファラオ)が蘇りそうな感じ?
本展では、そうした既成概念はすぐに吹き飛ばされます。
というのも、6体のミイラを中心にしつつも、古代エジプト文化と歴史をテーマに沿って人類学的に紹介し、それを文物に語らせるキュレーションが見事なのです。
ヤシの木などを配した背景や暗すぎない照明など、インスタレーションも工夫されています。
まるで名画がいっぱいの美術展や貴重な工芸品で構成される特別展のよう。
さらには、CTスキャンの映像なども交えて、研究の最新成果も紹介されています。
昔と違い、最近ではミイラの包帯をほどかなくても、CTスキャンを用いた画像解析で、内容物を損傷することなく、ミイラや棺の中がどうなっているかが調べられています。
◆6体のミイラと文物で綴る、6つの物語
メインの会場は地下の「第1会場」で、6つのセクションに分かれています。
今回のミイラ展のテーマは「古代エジプト6つの物語」です。
ナイル川流域の古代エジプトで、紀元前800~紀元後100年前後の様々な時代に生きた6人のミイラを選び、生と死にまつわる文化諸相に光を当てようというものです。
そもそもミイラにしてもらえた人々は、社会の支配層や上流階級ですが、そのうち神官や役人、既婚女性、男の子、青年といった様々な立場や年齢の6人がセレクトされています。
古代エジプトの信仰や衣食住や文化から、グレコ・ローマン時代の異文化の流入まで、展示品を通して6つのテーマを掘り下げています。
◆ミイラ展は、第1会場と第2会場で構成
第1会場で本展のメイン展示を見た後は、ツタンカーメンのマスクのレプリカのある廊下(撮影OK)、そして、エジプト・サッカラ遺跡の模型を通って、第2会場へと移動します。
模型とは、サッカラ遺跡で進行中の日本エジプト合同調査隊による発掘現場の再現模型で、実物大のカタコンベです。迫力満点です。墓場です。怖い。
第2会場はエスカレーターで上がった先にあり、日本の古代エジプト研究のパネル紹介や、カハク所蔵の「猫のミイラ」などがあります。
そして、本展のゴールは、古代エジプトをテーマにした限定グッズ満載の土産コーナーです。
◆子供も楽しめる
大小さまざまな展示品は文字や絵も興味深く、異国情緒や造形の面白さもあり、ふりがなつきの子供向けの説明パネルもいくつかあります。
全体として本展は、大人はもちろん、小学生くらいから楽しめそうです。
カハクの特別展でおなじみの(?)匂い体験シリーズも設置されていました。
今回は「猫のミイラ」の匂いを体験してみよう、です(うえっ、嗅ぎたくない!)。コラボ先は、花王の感覚科学研究所。
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