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和のあかり×百段階段展2022
~光と影・百物語~2022年7月2日(土)~9月25日(日)
ホテル雅叙園東京
「和のあかり×百段階段」とは、ホテル雅叙園東京の館内にある東京都指定有形文化財「百段階段」にて行われるアートイルミネーションです。
2015年から開催されている人気の本イベントを、7月1日、一足先に体験してきました。
今回はその様子と見どころについて、本展を“今夏に見るべき17 の理由” とともにレポートします。
(レポート by あみゅーぜん編集部)
和のあかり×百段階段2022 今夏に見るべき17 の理由
1 夏にぴったり、雰囲気たっぷり 2 和のあかりを感じる、優しい暗がり 3 特別なアート体験 4 非日常の体験 5 展示空間に流れる、心地良い音楽 6 下から見ても良し、上から見ても良し 7 和モダンと現代アートのあかり 8 歌舞伎のドラマチックなあかりを体感 9 空間全体が一つの作品 10 美しい馬たちの夢世界のあかり 11 森の自然の怪しいあかり 12 展示作品を自分の家に飾る 13 個々の作品を裏打ちする物語 14 撮影OK 15 複合的な体験も可能! 16 文化財「百段階段」のデートで百物語効果 17 ミュージアムショップが宝の山
「和のあかり×百段階段 2022」
その1. 夏にぴったり、雰囲気たっぷり
今年の「和のあかり×百段階段」のテーマは、夏にぴったりの “百物語”(~光と影・百物語~)。
展示の中に、幽霊や妖怪たちが現れます。
会場となる畳の和室は、まるで今にも座敷童が出てきそう。
星光の間に繋がる板張りの廊下には、数々の「妖怪提灯」(伊藤権次郎商店×CRAFCULT)が怪しく灯り、ムード満点です。
夏の風物詩は妖怪だけではありません。
エントランスホールでは、愛らしい「柳井金魚ちょうちん」が来訪者をお出迎え。
プロムナードには伝統の風鈴(江戸風鈴・小田原風鈴)が涼しげにぶら下がるなど、館内各所の風流な装飾とともに、夏の情緒をたっぷりと盛り上げています。
「和のあかり×百段階段 2022」
その2. 和のあかりを感じる、優しい暗がり
光は影があるからこそ引き立つもの。
妖怪や幽霊が出て来られる、優しくて、ほの暗い照明が、和の明かりを美しく浮かび上がらせます。
「和のあかり×百段階段 2022」
その3. 特別なアート体験
文化財「百段階段」の色彩豊かな7つの部屋はかつての宴会場として、昭和初期を代表する画家による126枚の日本絵画や職人技が光る装飾で彩られています。
その特別な空間に展示され、間近に見ることができる作品からは、それぞれの質感、美しさや力強さ、ぬくもりや作り手の息遣いまで伝わってきます。
「和のあかり×百段階段 2022」
その4. 非日常の体験
文化財「百段階段」では入口で靴を脱いで、本展のアートを観賞します。
7つの和室をつなぐ99段の階段を昇り降りしながら、それぞれの座敷を訪問します。
水平方向だけではない移動をするうちに、私たちの身体は昔の日本の木造建築の空間に、不思議と馴染んでいきます。
気づかずに変化していく身体感覚とともに、いつの間にかアートの世界に没入します。
「和のあかり×百段階段 2022」
その5. 展示空間に流れる、心地良い音楽
和のあかりを巡りながら、流れる音楽にも耳を傾けてみてください。
「心地良くて、それぞれの展示にぴったり!」と思いきや、それもそのはず、本展のオリジナルサウンドトラックなのだそうです(ヨダタケシさんによる「和のあかり×百段階段2022 オリジナルサウンドトラック」)。
「和のあかり×百段階段 2022」
その6. 下から見ても良し、上から見ても良し
本展のストーリーでは、入り口のホールから「あやかしの夜」が始まります。
階段の一番下の座敷から順に巡ると、最後に頂上の間となります。
そこは「長い夜を抜けたどり着いた場所で、朝の明かりにあふれて」います。
大塚理航さん(いけばな古流かたばみ会)の作品と石井七歩さん(現代美術家/絵画、インスタレーション)による作品で華やかな装いです。
ちなみに、レポーターはまず99段を一気に昇り、頂上の間からスタート。
「朝の光から、長い夜の世界に降りていく」という、さかさまのストーリーを体験してみました(※本レポートは順不同)。
「和のあかり×百段階段 2022」
その7. 和モダンと現代アートのあかり
鏑木清方による美人画や四季草花で彩られた清方の間には、様々なマテリアルやジャンルの光と影が登場します。
いろした工房のガラスランプや、第一印刷所(越後長岡)の切り紙加工の「かみはなび」。
襖に映し出される影が印象的な、ヒョーゴコーイチ(炭化彫刻家)さんのヒノキやスギ素材のスミアートの作品と、オオタキヨオ(彫刻家)さんの構造的で抽象的な作品。
園田美穂子(日本画家)さんの幽霊画に山川建具(組子細工)の行燈。
そして、ThinKniT® のニットによる美しいライティングアイテム。
「和のあかり×百段階段 2022」
その8. 歌舞伎のドラマチックなあかりを体感
草丘の間では歌舞伎の「恋の情念」を創造的な明かりで展示しています(松竹衣裳株式会社、歌舞伎座舞台株式会社)。
「牡丹灯籠(ぼたんとうろう)」、「六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)」、「八百屋お七(やおやおしち)」より。
「和のあかり×百段階段 2022」
その9. 空間全体が一つの作品
文化財「百段階段」での展示は、近代的な美術館ののっぺりとした空間とは全く異なります。
下が畳という特殊性、展示物や機材を置ける場所などの制約に加え、すでにそれ自体が美術品である天井画や欄間や床の間が施された空間の中に、クリエイターは作品を展示するという力量を試されます。
自らの作品とともに、いかに座敷の間をまるごとひとつのアートとして創り上げているか、という点も見どころの一つになります。
また、個々の作品の積み重ねによって、文化財「百段階段」という空間全体で「ひとつの百物語」が奏でられています。
和のあかりの百物語は、この夏、ここでしか見ることのできない、特別な展覧会なのです。
「和のあかり×百段階段 2022」
その 10. 美しい馬たちの夢世界のあかり
静水の間にて、中里繪魯洲さん(造形作家)の「さかさまのさかさま」は、夜深くにこの世のものか幻か、三頭の美しい馬たちが水晶球とともに現れる作品です。
本間では欄間四方のススキ(小山大月による金箔押地秋草)を、まるで夢世界の草原のように見立てて、二頭の馬を登場させています。
「和のあかり×百段階段 2022」
その 11. 森の自然の怪しいあかり
十畝の間にて、弦間康仁さん(照明作家)は、住んでいらっしゃる飯能の森の中で出会う、自然の怪しさ、光と影を表現しています。
座敷の中央には、松明(たいまつ)に見立てたモニュメントのあかりが灯り、障子面にはカラスウリの弦(つる)の影が不気味に映し出されています。
「知ってます?夜に咲くカラスウリの花って、怪しいんですよ。」(弦間さん)
松明の明かりに飛んで入るのは、夏の虫、ならぬ、妖艶な夏の「蛾」(かんざし作家の榮-sakae-さんの作品)。その下の影を見れば、クモが獲物を待ち構えています。
「和のあかり×百段階段 2022」
その 12. 展示作品を自分の家に飾る
本展では購入可能な作品もあり、展示作品を家に飾る、という願いも叶います。
中でも、星光の間は要チェック。
西島雄志さん(現代美術家/彫刻家)の「白狐」、松風直美さん(切り絵作家)の猫をモチーフとした切り絵作品。
鈴木ひょっとこさん(画家)のユーモラスな家電と幽霊や妖怪の絵。
小澤康麿さん(造形作家)の「壁抜け猫又」などの猫。
細山田匡宏さん(造形作家)の「ニンゲンコワイ」シリーズ、など。
「和のあかり×百段階段 2022」
その 13. 個々の作品を裏打ちする物語
純金箔、純金泥、純金砂子で仕上げられた絢爛豪華な漁樵の間では、それまでの闇の世界に、まばゆい竹の光があふれます。
「竹あかり」の制作を通じて、自然との共生やつながりを後世に伝えるべく活動している、アカリノワによる作品です。
展示を終えた竹灯籠は、竹炭にして土壌改良に使う、といった活動もしています。
本展のどの作品にも、展示を超えた物語があります。
「和のあかり×百段階段 2022」
その 14. 撮影OK
文化財「百段階段」は、本展開催中は全作品撮影が可能。
(※撮影禁止事項等、詳細は主催者HPを参照)
「和のあかり×百段階段 2022」
その 15. 複合的な体験も可能!
浴衣体験や宿泊、また、食事やお茶とともに展覧会を楽しめるのは、ホテル雅叙園東京ならでは。
(※本展が割引になる各種セットプランなど、詳細は主催者HP)
「和のあかり×百段階段 2022」
その 16. 文化財「百段階段」のデートで百物語効果
デートで本展を訪れるのもお勧めです。
五感や美意識を刺激する特別な空間でのアート体験を通して、二人の間には「吊り橋効果」とはまた違った絆が生まれるかもしれません。
しかも今宵は、百物語……。
「和のあかり×百段階段 2022」
その 17. ミュージアムショップが宝の山
ミュージアムショップには色とりどりのアートなアイテムが揃っています。
本展出展者の制作したアートや工芸品も数多く、展覧会の記念にぴったり。
お財布に優しいお土産も見つかりますよ。
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