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    アートとサウナ 六本木
    体験レポート
    その1

    2021年3月22日(月)~11月23日(火・祝)
    東京・六本木

     

     
    ※ 11月23日(火・祝)まで会期延長

     

    発汗してリラックスする、サウナ。その生理的な身体効果は共通したものであっても、それをどう感じるかは人によって様々です。

    サウナに入ることで「ととのい」、「ととのう」ことでアートを体験する本展では、人によってその感じ方が異なるのは、なおさらのことかもしれません。

    チームラボの新しい展覧会って、興味はあるけど、一体どういうものなの?

    サウナに入ることも日常あまりないけど、サウナに入ってから見るアートって、どんな感じ?

    そう疑問に思っている方々のために、このレポートでは体験と感想をお届します。

    今回、本展を体験したのは、サウナの初心者。温浴施設に行けばサウナは「素通り」して、お風呂に浸かっちゃうタイプの人です。

    加えて、サウナをテーマにした、話題の「サ道」は、漫画で読んだこともドラマでも見たこともありません。

    そんな人間が初めて、深いサウナ体験とともにチームラボのアートを鑑賞してみたら、どうなったか。

     

    チームラボリコネクト:アートとサウナ 六本木

    ◆日常から、非日常へ

    「蔦屋書店」六本木店の向かいに、平たく白い建物と看板が見えます。

     
    TikTok チームラボリコネクト 工藤岳さんインタビュー

     

    入口から入り、他の入場者たちと一緒に入場ゲートに並びます。

    この時の私の状態は、わさわさとした「日常」を持ち込んだままです。
    今日午後の仕事のこととか、いましがた六本木ヒルズを抜けるときに見かけた人とかお店とか、いろんな雑念とともに会場に到着しました。

    ガイダンスを受け、着替えの水着やタオルを受取ると、いよいよ展覧会に入ります。

    更衣室で水着に着替える、イコール、これから自分が無防備になるような不安感も、頭の中を一瞬よぎります。

    本展は、単純にアートではなく、サウナ。
    あるいは、ただのサウナではなく、アート?

    一体どんな体験になるのかドキドキしますが、少しの勇気を出して、一歩中に踏み入れてみます。

    本展を案内してくださったのは、工藤 岳(くどう たかし)さん。

    チームラボのコミュニケーションディレクターです(工藤さんのインタビューを読む:リンク)。

     

    TikTok チームラボリコネクト 工藤岳さんインタビュー

    生命は結晶化した儚い光
    Ephemeral Solidified Light
    teamLab, 2021, Interactive Installation, Sound: teamLab

     


    ◆サウナ & 冷水浴とアートを3セット

    本展では、「サウナ × 冷水浴 × アート浴」を3セット繰り返します。

    【サウナ】➡【冷水シャワー浴】➡【アート1を見て過ごす】

    【サウナ】➡【冷水シャワー浴】➡【アート2を見て過ごす】

    【サウナ】➡【冷水シャワー浴(※)】➡【アート3を見て過ごす】

    ※冷水を使った作品もあるので、作品の中に入って冷水を浴びることもできます。

     

    全体では75分から90分くらいかけて、「ととのい」ながら、ゆっくり体験できます。

    アンビエントな音楽や光、サウナのロウリュで生まれる香り、身体感覚を刺激するアートとともに、没入感たっぷりに楽しめます。

     

    チームラボリコネクト アートとサウナ 体験記

    呼応するランプのアレイとスパイラル – ワンストローク, Metropolis Tokyo
    Array and Spiral of Resonating Lamps – One Stroke, Metropolis Tokyo
    teamLab, 2021, Interactive Installation, Murano Glass, LED, Endless, Sound: Hideaki Takahashi

     


    ◆本格的な7つのサウナ

    サウナは、METOS(メトス)社監修の本格サウナが全部で7つ、うち2つは女性専用です。それぞれ温度、使われるロウリュ水の香りや、音楽と光が異なります。

    熱した石に水をかけて水蒸気を発生させる「ロウリュ」は、定められた間隔でスタッフが行います。

    サウナ室の入口の横にパネルがあって、中の温度や込み具合、次回のロウリュまでの時間などが表示されています。パネルを確認して、どのサウナに入るかを決めます。

     
    TikTok チームラボリコネクト 工藤岳さんインタビュー

     

    工藤さんの案内で私たちが最初に入ったのは、温度高めの90度サウナでした。

    高温サウナなのに、肌にトゲトゲと刺さるような嫌な熱さがまるでなく、「まろやかに」身体が温まり、やさしく気持ちよく汗が流れていきました。

    ロウリュでサウナ石に注がれたのはなんと、「ほうじ茶」(九州・嬉野「EN TEA」の特別焙煎茶を使用)です。深く響くような良い香りが漂い、なんとも言えない心地よさが身体の中に広がっていきました。

    ほかにも、森林浴のような気分になれる白樺の香りのサウナ、シナモンの香りのするサウナ(女性専用)などがありました。

     
    チームラボリコネクト アートとサウナ 体験記

     

    ◆冷水シャワー

    サウナ初心者には冷水はしんどいところですが、本展では水風呂ではなく、頭上および肩口からのシャワーで冷水が浴びられるようになっています。

    冷水エリアで噴霧されているミストには、光の蝶々がひらひらと舞い、触ると消えてしまったり(「円相に迷い込んで」)、大きな円形の虹がかかっていたり(「円相を通り抜けて」)、光のアートがほどこされています。

    ミストだけではなく、シャワーヘッドから思いっきり冷水シャワーを浴びることも可能です。

    水シャワーの後は、その後のアート鑑賞時に身体が冷えないよう、ハンドタオルでよく水気をふきとるように、と教わりました。

     

    チームラボリコネクト アートとサウナ 体験記

    円相に迷い込んで
    Step into the Light Circle
    teamLab, 2021, Interactive Digital Installation, Sound: Hideaki Takahashi, teamLab

     

    ◆メインのアートは3つ

    温冷交代浴が1セット終わるごとに、「アート浴」をします(アートをながめながら時間を過ごします)。

    メインのアート作品は、3つ。


    【アート1:空中浮揚】

    チームラボリコネクト アートとサウナ 体験記

    目の前の空間に、ぽっかりと浮かぶ球体。ワイヤーなどにつながれているのではなく、自由に空中に浮いています。人の動きで生じる空気の流れで、近寄ってきたり遠のいたり、沈んだり、再び浮かんで真ん中に戻ろうとしたり。万有引力の法則に従わない、なんだか不思議な動きをしています。

    1回目のサウナと冷水浴の後で、このアートを見ました。その時はただ、温かさもある心地よい暗がりの中に佇み、光に照らされた球体が空間にぽっかりと浮かぶのを、ぼんやりながめていました。

     

    【アート2:降り注ぐ雨の中で増殖する無量の生命】

    チームラボリコネクト アートとサウナ 体験記

    降り注ぐ雨の中で増殖する無量の生命 – A Whole Year per Year
    Proliferating Immense Life in the Rain – A Whole Year per Year
    teamLab, 2020, Interactive Digital Installation, Sound: Hideaki Takahashi


    日本の屏風画のような、花のアート作品
    。屏風の地の色は、安土桃山時代の屏風画を渋くしたような、落ち着いたトーンの色彩です。

    そこに尾形光琳の絵の空間構成のような日本画の構図で、和の趣のある、美しく艶やかな花が生まれ、ぐんぐん育っていきます。花はこの世を謳歌するように開いていき、屏風いっぱいに広がって咲き乱れ、やがて散って、死んでいく。生命は、連続しているもの。限りあるもの。

    立体的な3D画像が平面に投影されたアニメーションになっていて、投影される花は季節によって変わるとのこと。二度と同じ咲き方をする花はなく、訪れるたびに違う姿を見せる、一期一会の花です。

    花の移ろいを見ているうちに意識が吸い込まれていき、なんともいえない感覚へと導かれていきます。

    横では、他のお客さんたちが、一人で静かにアートを観ていました。

    私はと言えば、これをひとりぼっちで見るのはちょっと寂しく、大事な人とそばで一緒に見ていたい。美しい花たちなのに、本来、自分が宇宙の中で孤独な存在であることを感じてしまいます。

     


    【アート3:生命は結晶化した儚い光】

    チームラボリコネクト アートとサウナ 体験記

    光の当たり具合で、水が流れるように下に滴り落ちたり、逆に上に昇っていくように見えたりする作品です。

    冷水の糸をくぐって、冷水を浴びたり、触ったりすることができます。ある色彩に触るとその色調が空間に広がっていくさまを体験できます。

     

    ◆チームラボリコネクトに来ているのはどんな人?

    この日は月曜の昼でしたが、平日の日中なのに結構にぎわっており、本展の人気ぶりがうかがえました。

    来場者は女性も男性もいれば、一人で来ている人(結構多い)、友人同士、カップル、親子連れなど、関係も年齢もさまざま。ビジネスパーソンっぽい人たちもいれば、学生風の人たちもいます。

    更衣室とサウナ室以外では写真撮影もOKなのですが、「映え狙い」な人は少なく、そこは、プラネッツ(豊洲)やボーダレス(お台場)と大きく違うようです。

    周りには、サウナを楽しみ、ゆっくりとそれぞれのペースでアートに没入している方々が多くいます。

    そんないいエネルギーを感じながら、心地よく過ごすことができました。


     
     つづき(体験レポート その2)を読む

※情報は掲載時のものであり、変更されることもあります。詳細は主催者にご確認ください。

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